ゼロベースからの化粧品の品質管理【第7回】

 前回は、ISO9001とISO22716の品質保証に関する要求事項の違いについてお話しました。GMPの手順書を作成する場合には、ISO9001の手順書があるからと言っても、『逸脱』と『不適合』の考え方は違いますので、誤解を生む可能性があることを十分認識し、そのまま転用出来ないケースが多々あることを留意しておく必要があります。従って、先ずはISO22716の要求事項に沿って手順書類を整備することを提案させて頂きました。
 一方、最新版のISO9001:2015では、品質マニュアがなくても他の文章で問題ないことや、業務フローに従って品質保証プロセスを整備することが明記されていますので、ISO9001とISO22716の両立を目指した体制作りは、以前よりも進め易いとも言えます。そのため、用語や適用範囲、更に要求事項の内容の深さの違いを十分認識して頂ければ、ISO9001の手順書にGMPの不足事項を追記する作業を先ず行って頂ければ、要求事項の違いも認識が深まるものと考えます。、そして、ISO9001の手順書を基にしてGMPに関して不足している手順書類を整えることで体制の構築も可能であると考えます。但し、今回はISO22716の要求事項に沿ってGMP組織図のあるべき姿について説明させて頂きます。

1.GMP組織図の留意事項
<1>    要件
・品質部門(品質管理と品質保証)と製造部門は、それぞれ独立した組織とすること
 ➡ISO9001では、工場全体の組織とその組織の機能の記載ですね?

・組織が会社の上級経営者に支えられていること
 ➡ISO9001でも経営トップの関与が明記されていますが、GMPでは人員の確保の要求があること、ISO9001は品質方針等の組織のベクトル付けの要素が強く、医薬品GMPではこのトップの関与の要求が最近では明確に要求されていますが、若干要求事項は違うことの認識は必要です。

・GMPの実施は上級経営者の責任とし、社内すべての部門及びすべての職員に対し参加と積極的関与を求めること。
 ➡ISO9001に比べて、実務的な工場運営の要素が明確に記載されていると考えます。

<2>    留意事項
①  薬機法では責任技術者の設置が求められています。この対応として、化粧品の製造所では、現場で長く勤められていた方が責任技術者に任命されているケースがあります。これに対して、GMPでは品質部門によってGMPプロセスで支えられていることの要求があり、製造部門のトップの方が責任技術者を兼務されている場合には、品質部門が主体でマネジメントする要求に対して、製造部門の事項に関してどのような業務フローで管理が行われるのかは、なかなか難しい問題があるように考えます。そのため、品質部門のトップの方が責任技術者を兼ねることに問題はありませんが、製造部門のトップの方が責任技術者となられる場合には、製造部門の責任者は別途、別の方を任命された方がGMPの様々な業務フローに関しては矛盾ない体制が整えられるように考えます。

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