体外診断用医薬品とはどういうものか?【第9回】

 既に20世紀の中頃には酵素を使った生理活性物質の定量法が開発されており、また、免疫電気泳動法による疾患関連タンパク質の測定も行われている。当時の測定対象は比較的量的に多いもの(とは言っても、マイクログラムオーダーというスケールではあるが)が主であった。やがて、酵素的に測定する手法は全自動化されることになった。今でいう臨床検査自動化システム(生化学自動分析装置)の登場である。この分野では我が国の製造業は圧倒的なポジションを占めている。
 
 酵素反応だけで測定される測定対象よりも低い濃度で存在する物質を定量しようとすると特別な反応を準備することになるが、代表的な先駆事例は、放射性物質を用いた血中インスリンの測定である。この測定方法の肝は、測定対象を特異的に捕捉する抗体の利用(免疫学的測定法)と標識物質としての放射性同位元素の利用である。放射免疫測定法(RIA)の登場である。初期の頃には純粋な免疫反応生成物の取り出しまでにかなりの時間を要したが、固相化担体の利用により反応工程全体の時間はある程度まで短縮された。
 
 このような免疫学的測定法が開発されてからは、加速度的に測定対象が拡大した。現在、測定されている生理活性物質の大半は、かなり昔から測定可能だったことになる。ただし、この方法には今でいうと欠陥になるのだが、固相化担体利用後も依然として測定(反応)時間が長いこと、特別な施設でしか測定が実施できないこと、生化学自動分析装置のような大量処理向けの全自動化システムを構築することができないなどの深刻な問題があった。価格的にもそれ相応のもの(=決して安価ではない)であった。

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