FDAの対応すべき医療機器規制について【第2回】

前回紹介しましたAAMI TIR 102:2019の発行後、FDAは対応する法的規制を告示することを予定していますが、本記事作成時点においても依然として何も示されていません。ということで、まだその途中の移行期にあるとしまして、【第2回】の本記事では、1996年より要求されてきたQSRにおけるマネジメントの役割として、経営者(管理監督者)または経営層がなすべきことを、FDA対応に向け理解を深めるための助けとなるよう解説しています。

品質システム規則は、Quality System Regulationの省略形QSRと呼ばれ、21番目のカテゴリ(医薬食品)の米国連邦法Code Federal Regulation; CFRの820項により規制されるもので、これにより品質システム構築および維持することが求められています。
QSRに用いられる用語は、21 CFR Part 820.3項を参照いただきたいのですが、ここに規定されていない重要な用語がガイダンス[9]にありますので、その補足をさせていただくと以下の2点があります。

(1)    品質要求事項は、Quality requirementsのことで製品またはサービスが意図された使用(Intended use)として適切であることを保証するために必要な品質管理および品質保証手順、基準、およびその他の要求事項を意味する。
(2)    規定要求事項は、Specified requirementsのことで文書により指定された要求事項のことをいう。例えば、購買品の仕様、製造工程規格などがある。

この品質要求事項は、品質システムの全体像のことであり、製品またはサービスを提供するために必要な品質システム文書などを指しています。また、規定要求事項は、仕様・規格のことですが、これらにより求められていることは、仕様・規格が要求事項として保証できるようにすることであり、FDAの要求は徹底して要求事項を満足させること、要求事項を保証させることに拘っていることが解ります。

品質システム構築において、まず誰が品質システムを構築しなければならないのか、ということですが、要求事項を満たし医療機器/サービスを提供できるようにするため、経営責任をもつ経営者(管理監督者または経営層)が率先して品質システムを構築し、維持する必要があります。[6]
経営者はよく、「管理責任者に任せたから」という言い方をしますが、これは経営者の責務を果たしていないことになります。例えば、『定めた企業理念は品質方針にブレイクし、それに対応する組織として設計・開発の機能を強化するため、この組織構成にした』というような経営者の考え方に基づいて、組織構成されていることをFDAとしては示していただきたい訳です。

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