オーナーのプロジェクトマネジメント【第2回】

 

 第1回ではプロジェクトの各ステージの概要について説明をしたが、個々のステージの詳細については後に説明するとして、プロジェクトの全般的な話について、さらに進めていく。

 

3. 何をマネジメントするか

 一般にプロジェクトマネジメントの重要な要素は、コスト、スケジュール、パフォーマンス、クオリティとも言われている。或いは、スコープ、スケジュール、コスト、クオリティ、組織、コミュニケーション、リスク、調達を主要な項目とする考え方もある。いずれも間違いではないが、これらの項目だけではプロジェクトをマネジメントするのに十分とは言えない。例えば、現場における工事や試運転における安全に問題があれば、工期にも大きく影響し、結果的にはコストやスケジュールといった項目に現われてくることになる。そういった意味では、上記の重要要素のコスト、スケジュール、パフォーマンス、クオリティが計画通りであれば、プロジェクトは成功したと考えてもよいだろう。逆に言えば、「プロジェクトを失敗させないために、何をマネジメントするべきか」ということになる。もちろん、失敗という言葉の定義には論議があるが、概ね、以下のことを失敗と考えてもよいと思う。
 

プロジェクトの失敗とは

 ①プロジェクトのコストが計画を超過した

 ②プロジェクトのスケジュールが計画より遅延した

 ③プロジェクトのパフォーマンスが計画を達成できなかった

 ④プロジェクトのクオリティが計画を満足できなかった

 

 ここでは、超過とか、達成できなかったという定性的な表現にしているが、具体的には定量的な表現が望ましい。例えば、「コストが計画の10%以上の超過があった場合に失敗した」といったように定量的に考える。定性的、定量的のいずれにしても、プロジェクトが失敗しないために、何をマネジメントするかということになる。コストやスケジュールに何か兆候が見え始めた段階では、プロジェクトマネジメントとしては遅いタイミングであり、Feedbackマネジメントだけではなく、Feedforwardマネジメントも重要となる。

 わかりやすく言えば、計画では2/1に発注するABC機器は予算が5千万円だったとしよう。発注に間に合うタイミングで見積を入手し、価格交渉をしても7千万円が限度であったとする。2千万円の予算オーバーは、このプロジェクトでは致命的であり、ゼロから仕様の再見直しを行い、その結果、工期影響も3か月の遅延となった。ここでのマネジメントはスケジュールだけを意識したものであったために問題が発生したが、本来は2/1に予算内で目的の機能を持つABC機器を発注することが、マネジメントの目標である。このABC機器が、プロジェクトにおけるコスト、スケジュールあるいは機能に大きな影響を与えるとすれば、事前の調査(計画段階でもよい)をしておき、この仕様なら予算内に入りそうだとか、納期の確認等をしておくことが、プロジェクトをスムーズに進めるためには重要となる。

 また、コストやスケジュール以外で、より早く把握できるもの、特に定量的に把握できるものがあれば、できるだけ多くの項目をマネジメントしておくべきである。個別には、各ステージでの詳細で触れていくことにする。

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