業界雑感 2018年9月

 平成27年度の国民医療費は42兆3,644億円にのぼるという。前年度に40兆円の大台を超えたところだが、一年で1兆5,573億円、3.8%の増加となる。この国民医療費を財源別にみると、公費が約39%、保険料が49%、患者負担は12%となっており、自己負担の軽い高齢者の増加などで下がっている患者負担率を現役世代や公費の負担で補う構図になっている。薬剤費はというと、ここ数年9兆円前後と変わっておらず、医療費の増加を少しでも抑制するために薬価引き下げが行われてきたともいえる。そういった環境の中、昨年末の中医協総会で了承された「薬価制度の抜本改革にかかわる骨子」では「新薬創出加算」の見直しや長期収載品の薬価引き下げ、費用対効果評価の試行的導入などが織り込まれ、新薬・長期収載品・後発医薬品に限らず、薬価の引き下げ圧力は益々強まってきている。
 ここ数年の医薬品市場を振り返ると、高薬価の画期的新薬の発売で大きく売り上げを伸ばすメーカーが出てくる一方で、長期収載品はジェネリック薬に押されて売上高は急減、先発薬メーカーがそれら長期収載品を売却する動きも拡がってきている。一方ジェネリックメーカー各社は、後発薬使用促進策により売り上げを伸ばし、生産能力確保のための大型設備投資も盛んにされてきた。さらには海外進出を目指すM&Aやバイオシミラーへの開発投資など、後発品比率80%達成後の更なる成長戦略に向けた布石も着々と敷かれている。

 

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