通訳あるあるネタ【第4回】

今回は、お客様からよく聞かれる質問にお答えしたいと思います。
 
質問1.「資料が無いと、通訳できないのでしょうか?ブリーフィングは必要ですか?」
通訳者の手配が完了してほっとする間もなく、エージェントから資料を何度も催促されると担当者からよくこぼされます。査察の受け入れ準備で忙しいときに、通訳者の資料の手配までお願いするのは、私たちも心苦しいです。それでも、少なくともオープニング・プレゼンテーションの資料は頂きたいとお答えしています。対象製品、製造工程のフロー、前回査察の指摘事項、主な設備・分析機器、品質試験の項目等の情報があれば、GMP査察の経験が豊富な通訳者は準備ができます。また、欧米当局などの査察であれば、ぜひ本番前にブリーフィングをしていただけると助かります。その際に、過去2年間(又は前回査察以降)の逸脱、OOS、CAPA、変更管理(Majorな項目)なども説明していただけると、より皆様のお役に立てると思います。現場の皆様の運用を査察官にきちんと説明するためには、事前準備が必要です。
 
質問2.「査察官一人に対して、何名の通訳者が適切でしょうか?」
一般的には、査察官一人に対して2名の通訳者が手配されます。GMP査察では、製造工程やラボのツアーとDocument Reviewがあります。査察官が2名いらっしゃり、ツアーは一緒に回るけれど、Document Reviewでは二手に別れる場合、4名の通訳者で対応することが多いです。理由は、パートナーのサポート(聞きなれない用語を調べる、訳出の抜け漏れチェック)と、集中力を保つための脳のリフレッシュです。通常は15分から20分で交代し、自分の出番が終わっても相手の通訳を聞いたり、分からなかった単語を調べたり、お手洗いに行ったりします。逐次通訳は同時通訳より楽だと考えているお客様もいらっしゃいますが、聞き取りや訳出に要する集中力はどちらも同じです。査察官の質問を正確に理解し、SME(対応者)が回答をイメージしやすい日本語にし、SMEの回答を査察官に理解しやすい英語にするという作業には、瞬時のプロセシングと論理の組み立てが必要です。
 
 

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