ラボにおけるERESとCSV【第44回】
7.483における指摘(国内)
前回より引き続き、国内企業に対するFDA 483に記載されたデータインテグリティ観察所見(Observation)の概要を紹介する。今回でちょうど20社目の紹介となる。
■T社 2017/2/2 483
施設:製剤の工場
Observation 1
ラボの管理方法が適切な組織により確立されておらず、QCにより承認されていない。また、電子記録がバリデーション、アクセス制限に適合しておらず、信憑性があり信頼でき紙の記録と同等であると保証できない。特に;
1) UVに監査証跡機能がない。
2) UVが生成したファイルはOS機能によりアクセスでき、ファイルの名称を変更したり削除したりできる
3) QCの工程内検査においてWHTソフトウェアにより錠剤の重さと厚みを検査しているが、そのソフトウェアに監査証跡機能がない。(WHT:Weight Hardness Thickness)
4) このWHTソフトウェアが生成したファイルはOS機能によりアクセスでき、ファイルの名称を変更したり削除したりできる
★解説:
データインテグリティに係わる用語を連載第34回で紹介したが、以下に再掲載する。
生データ
・少なくとも、品質判定に用いる全てのデータを生データと規定すること
生データとなる電子記録を規定すること
生データとなる電子記録を規定すること
・データを生成した作業を完全に再構築できるものであること
(出典:MHRA データインテグリティ・ガイダンス)
メタデータ(出典:MHRA データインテグリティ・ガイダンス)
データの意味を理解するのに必要な情報
◇ 少データの数値だけでは何を意味するのかわからない
たとえば 「23」という数値は、「mg」といった単位表示のようなメタデータがなければ何の意味もない
たとえば 「23」という数値は、「mg」といった単位表示のようなメタデータがなければ何の意味もない
◇ データを収集した日時のタイムスタンプ、データを生成したテストや分析を実施した人のユーザーID、データ収集に使用した機器のID、監査証跡などもメタデータ
(出典:FDA データインテグリティ・ガイダンス)
オリジナル・レコード
(出典:FDA データインテグリティ・ガイダンス)
・紙であろうが、電子であろうが最初に捉えた情報 (原本性)
(出典:PIC/S データインテグリティ・ガイダンス 第7.5節)
真正コピー(True Copy)
(出典:PIC/S データインテグリティ・ガイダンス 第7.5節)
・オリジナル・レコードの正確な検証済みコピー
(出典:MHRA データインテグリティ・ガイダンス)
ダイナミック・レコード
(出典:MHRA データインテグリティ・ガイダンス)
・データ処理、データ解析、データを拡大表示できるような形式の記録。例えば、電子的に維持されているクロマトグラフィのオリジナル・レコード
(出典:WHO データインテグリティ・ガイダンス 第3章)
スタティック・レコード
(出典:WHO データインテグリティ・ガイダンス 第3章)
・紙やpdfの様に、データが固定されており再処理や拡大表示ができないような形式の記録
(出典:WHO データインテグリティ・ガイダンス 第3章)
(出典:WHO データインテグリティ・ガイダンス 第3章)
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