新しいGMP教育訓練像を求めて【第6回】

"はじめに
 
前回は、教育訓練者と教育訓練受講者の思いについて述べた。今回は「教育訓練者の適格性」ということを考えてみたい。教育訓練も様々な形態があるのが、今回の話は「集合教育(off-JT)で、座学」を前提としているため「教育訓練者(trainer)」を「講師」に、「被教育訓練者(trainee)」を「受講者」と言葉を置き換えて話を進めることにする。
 
現在の科学技術の発展や、生産性向上の動きを勘案すれば、GMP教育のIT化は更に進むであろう。つまり、e-Learningの存在が大きくなるのは当然である。現在のe-Learningの殆どの方式は、“講師”が存在していない。つまり画面に映し出される内容を“自習”し、三択あるいは四択という形式の正解番号を答え、正解となるまでそれを繰り返す形式が大多数を占める。しかし、将来、AI(人工知能)が進展し、その運用コストが大きく下がれば、このe-Learningの形式も大きく変わる可能性がある。例えば、TED・カンファレンスでのスーパープレゼンテーションのような講義形式がe-Learningの主体となり、受講者は記述式の回答を返して、AIがその回答内容を評価するという形態に発展するであろう。そうなると受講者は講師(プレゼンター)の名前をみて、コンテンツを選択すると想像される。時代が変わっても、優れた講師は常に求められる存在である。
 
そこで、今回は“講師を選べない受講者”のためにも、講師の適格性について触れてみたい。当然であるがGMP教育訓練の講師は、教育者ではない。しかしながら、「教育」という用語の意味である人を導き育てるという役割は同じである。また、教育訓練者の資質にもなるが、OJTであっても、off-JT(集合教育)であっても、教えることは好きでも、なかなか上手に要点を伝えられない「教え下手」な人もいる。
 
特にoff-JT(集合教育)の場合、教え下手の講師から教育を受けた受講者は、頭が混乱してしまい、「自分の理解力が低いのかな…」と思ってしまうこともある。反対に、「教え上手」な講師から教育を受けると、砂漠に水が染み込むがごとく、どんどん知識や技術が吸収される。受講者の“教わり上手度”は、相性による部分も大きいので、講師には、「教える」ということの重みを認識し、訓練を重ね、ぜひ教え上手な人になってほしいと願うものである。
 
 
1.GMP教育訓練者に必要不可欠な要素
 
筆者らの考えている「教育」の発展段階は、以下のような構成を持つ(表1)。
 
表 1 GMP“教育”の発展段階
段 階 用語 到達が望まれる象徴的内容
第一段階 教育  受講者を教え導きそして育てること
第二段階 共育  教育受講者だけでなく、教育訓練者もともに育つこと
第三段階 協育 「共育」活動が職場環境となり、だれもが協力して取り組むこと
 
上記のステップをもう少し展開して図1に示した。この一連のステップの出発点である「教育」を担う重要な存在である講師に必要不可欠な要素を図2に示した。


図1 教育の発展段階と、各段階での内容



図2 GMP教育訓練者(講師)に必要不可欠な要素
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