【国内品質システム実施対応状況 及び 新バーコード】ASTROM通信<106号>

株式会社プロス発行のメールマガジン『ASTROM通信』のバックナンバーより記事を抜粋し、一部改編をしたものを掲載いたします。

本稿は【2016.9.15】に発行されたものです。
記事の原著は、こちらでご確認下さい。 ASTROM通信バックナンバー


こんにちは
ASTROM通信担当の橋本奈央子です。

ようやく残暑もおさまり、朝晩はすっかり秋の気配を感じるこの頃ですが、いかがお過ごしですか?

さて、このところ海外の情報を連続して取り上げてきましたので、今回は国内のニュースを2つ取り上げたいと思います。

1つ目は、厚生労働科学研究「GMP、QMS、GTP及び医薬品添加剤のガイドラインの国際整合化に関する研究」の調査について、2つ目は、平成28年8月30日に発出された課長通知『「医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項」の一部改正について』を取り上げたいと思います。

2つ目のバーコード表示の話題は、平成24年6月29日付医政経発0629第2号・薬食安発0629第2号厚生労働省医政局経済課長・医薬食品局安全対策課長連名通知『「医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項」の一部改正について』において、内用薬(生物由来製品を除く)、注射薬(生物由来製品を除く)及び外用薬(生物由来製品を除く)の販売包装単位及び元梱包装単位で任意表示だった項目が、平成33年4月までに原則必須表示になるというインパクトの大きな内容ですので、是非ご確認ください。

最後までお付き合いいただければ幸いです。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「GMP、QMS、GTP及び医薬品添加剤のガイドラインの国際整合化に関する研究」の調査について
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
平成28年8月22日付薬事日報に厚生労働科学研究「GMP、QMS、GTP及び医薬品添加剤のガイドラインの国際整合化に関する研究」で実施された調査の結果が載っていました。
調査は国内の製造業者を対象に、ICHの品質リスクマネジメントと医薬品品質システムの考え方について、アンケート形式で実施されたそうです。
調査結果はざっと下記の通りです。
1)品質リスクマネジメントの手順書作成について
  製造所の74%が品質リスクマネジメントの手順書を作成し、10%は単独の手順書
  は作成していない
  ですが個別の手順書内で変更管理などのリスクマネジメントについて規定してい
  たそうです。
2)品質リスクマネジメントの活用状況について
  製造所の13%は品質リスクマネジメントを定期的に実施し、66%が不定期に実施
  している一方で、12%の製造所では行っていなかったそうです。
  定期的に実施していると回答した製造所の場合、実施頻度としては年1回という
  ケースが一番多かったそうです。
3)医薬品品質システムの実施について
  製造所の65%が品質マニュアルを作成していた一方で、OTC、原薬、生薬・
  漢方製剤分野の製造所の作成率が著しく低かったそうです。
  そして、全体の30%の製造所では医薬品品質システムを実施していないことが
  判明したそうです。
  医薬品品質システムを実施していない1番の理由は「資源不足」、次いで「法的
  拘束力がない」という回答が多かったそうです。

→この調査結果から、品質リスクマネジメントを実施していない製造所や医薬品品質
 システムを実施していない製造所がかなり存在していることがわかります。
 また、中小の製造所が、限られた資源の中で、品質リスクマネジメントや医薬品
 品質システムを実施することの難しさを物語っているようにも思います。

■出典
平成28年8月22日付薬事日報


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項」の一部改正について
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
平成28年8月30日に、『「医療用医薬品へのバーコード表示の実施要項」の一部改正について』(医政経発0830第1号・薬生安発0830第1号・薬生監麻発0830第1号厚生労働省医政局経済課長、医薬生活衛生局安全対策課長、医薬生活衛生局監視指導麻薬対策課長連名通知)が発出されました。

バーコード表示については、平成 27 年9月に策定された「医薬品産業強化総合戦略」において、後発医薬品の使用促進による流通量の増加を踏まえ、医療機関や保険薬局との連携による効率的な在庫管理や新規収載品目について、有効期限、製造番号などの変動情報を含んだ新バーコード表示の必須化の方針が示されていました。

今回の課長通知は、その戦略を踏襲する形で、流通の効率化や、トレーサビリティの強化を図ることで、より適正な製品回収等の対応を可能にすることを目的に、これまで任意項目であった医療用医薬品に関する販売包装単位及び元梱包装単位の表示についても、必須表示の範囲が拡大されることになりました。

★★前回課長通知(平成24年6月29日発出)からの変更点★★
内用薬(生物由来製品を除く)、注射薬(生物由来製品を除く)及び外用薬(生物由来製品を除く)の販売包装単位及び元梱包装単位の任意表示項目が必須表示項目になりました。
 ★販売包装単位の場合
  任意表示項目であった有効期限、製造番号または製造記号が、必須表示項目に
  なりました。
 ★元梱包装単位の場合
  任意表示項目であった商品コード、有効期限、製造番号または製造記号、数量
  が、必須表示項目になりました。

過去の課長通知も含めた現時点のバーコード表示要件は下記の通りです。詳細は、実際の課長通知をご覧ください。
■表示対象及び表示するデータ■
1.調剤包装単位
 ●特定生物由来製品
   商品コード、有効期限、製造番号または製造記号が、全て【必須表示】
 ●生物由来製品(特定生物由来製品を除く)、内用薬(生物由来製品を除く)、
  注射薬(生物由来製品を除く)、外用薬(生物由来製品を除く)
   商品コードが【必須表示】、有効期限、製造番号または製造記号が【任意表示】

2.販売包装単位
 ●特定生物由来製品、生物由来製品(特定生物由来製品を除く)、内用薬(生物
  由来製品を除く)、注射薬(生物由来製品を除く)、外用薬(生物由来製品を
  除く)の全て
   商品コード、有効期限、製造番号または製造記号が、全て【必須表示】

3.元梱包装単位
 ●特定生物由来製品、生物由来製品(特定生物由来製品を除く)、内用薬(生物
  由来製品を除く)、注射薬(生物由来製品を除く)、外用薬(生物由来製品を
  除く)の全て
   商品コード、有効期限、製造番号または製造記号、数量が、全て【必須表示】

※元梱包装単位で表示する数量とは、元梱包装単位に含まれる販売包装単位の数量を
 さします。
※商品コードは、個々の医薬品の包装単位の種類ごとに付される JAN(以下「共通
 商品コード」という。)の先頭に、調剤包装単位においては「0」、販売包装単位
 においては「1」、元梱包装単位においては「2」を付けた 14 桁のコードとなり
 ます。

■バーコードシンボル体系■
1.調剤包装単位 及び 販売包装単位
   商品コードに加え製造番号又は製造記号及び有効期限を表示する場合は、GS1
  データバー限定型合成シンボルCC-Aを用いる。表示面積が小さい場合は、GS1
  データバー二層型合成シンボルCC-Aを用いることができる。
   商品コードのみ表示する場合は、GS1 データバー限定型を用いる。表示面積
  が小さい場合は、GS1データバー二層型を用いることができる。
2.元梱包装単位
   コード128 を用いる

■新バーコード表示の実施時期■
1.特定生物由来製品及び生物由来製品の全ての包装単位、注射薬(生物由来製品を
  除く)の調剤包装単位及び販売包装単位並びに内用薬(生物由来製品を除く)
  及び外用薬(生物由来製品を除く)の販売包装単位の商品コード
   平成20年9月(ただし、年1回しか製造していないもの等特段の事情がある
  ものについては平成21年9月)以降 に製造販売業者から出荷されるものに表示
  する。
2.内用薬(生物由来製品を除く)及び外用薬(生物由来製品を除く)の調剤包装単位
   平成27年7月(ただし、年1回しか製造していないもの等特段の事情があるもの
   については平成28年7月)以降に製造販売業者から出荷されるものに表示する。
3.内用薬(生物由来製品を除く)、注射薬(生物由来製品を除く)及び外用薬
  (生物由来製品を除く)の販売包装単位の有効期限、製造番号または製造記号
  及び内用薬(生物由来製品を除く)、注射薬(生物由来製品を除く)及び外用薬
  (生物由来製品を除く)の元梱包装単位の有効期限、製造番号または製造記号、
  数量
   平成33年4月(ただし、特段の事情があるものについては平成35年4月)以降
  に製造販売業者から出荷されるものに表示する。

■出典
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T160830G0010.pdf

執筆者について

経歴 ※このプロフィールは掲載記事執筆時点での内容となります

連載記事

コメント

コメント

投稿者名必須

投稿者名を入力してください

コメント必須

コメントを入力してください

セミナー

eラーニング

書籍

CM Plusサービス一覧

※CM Plusホームページにリンクされます

関連サイト

※関連サイトにリンクされます