オーナーのプロジェクトマネジメント【第15回】

今回も引き続き詳細設計ステージについて記載する。
 
参考 以前に記載した記事の目次
 1.  はじめに
 2.  プロジェクトステージの概要
 3.  何をマネジメントするか
 4.  プロジェクト計画に関連する主要な問題点
 5.  プロジェクトマネジャーの役割と責務
 6.  プロジェクトマネジャーの資質
 7.  プロジェクトで使用することば
 8.  外部への依頼範囲
 9-10. FS(Feasibility Study)ステージ
11-13. 基本計画(概念設計)ステージ
14-16. 基本設計ステージ
 17. 発注方式
 17. 詳細設計ステージ【その1】

19. 詳細設計ステージ【その2】
(5)詳細設計時のリスクアセスメント
 基本設計時のリスクアセスメントについては、第12回の(7)に記載したが、以下のようなリスクのうち①および④は、建設プロジェクトの所掌範囲外であることが通常である。
  ①新製品開発が中止する
  ②プロジェクトの予算が超過する
  ③プロジェクトの工期遅れにより、製品上市が遅れる(患者への供給遅れ)
  ④規制当局の承認遅れや認可が下りない
  ⑤製品品質および患者の安全性を確保できない
詳細設計ステージでも②③⑤について考える。

 ②について考えると、詳細ステージに入るとかなりの項目について見積金額が明確になり、ランプサムで各契約を結んでいる場合は、オーナー側の全体予算が把握できる。今後は特別な事情や高額の追加をしない限り、最終の全体予算の傾向が把握できる。したがって、今後の予算超過の大きなリスクとして考えられるのは
 ・基本設計のミスや間違いが詳細設計ステージに発見され、基本設計の
  やり直しや、既に発注契約した項目の変更となる。
 ・詳細設計において、大規模な設計変更が発生する。
 ・詳細設計の不備のため、製作・施工段階で、設計図書のとおりに製作・
  施工できないといったような施工面からの大幅な変更が発生する。
 ・設計の不備により、試運転検証段階で要求されている性能や機能が発揮
  できないため、場合によっては設計や製作・施工にまで戻るような、変更
  修正が発生する。
などが考えられる。いずれのリスクも設計に起因するものであり、いかに設計における正確さが重要であると言える。

 次に、③の工期についてであるが、前述の予算超過のリスクは金銭面だけでなく工期面にまで大きく影響する。したがって設計の正確さは予算、工期に大きな影響を与える重要因子である。その他の工期に影響を与える大きなリスク要因は
 ・ベンダーやサブコントラクター(その下請けを含む)の経営上の問題が
  発生し、倒産などによる工期延長のリスクがある。
 ・戦争や急激な社会変化などにより、設計に遅れが発生するリスクがある。

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