製薬用水の実践知識【第12回・最終回】イオン交換樹脂と純水装置

はじめに
 イオン交換樹脂と純水装置についてお話します。イオン交換樹脂は、1938年ドイツで最初に商品化されたと言われています。
 純水の主な用途としては、試験用水、ボイラ給水があり、特に発電所では純水が多量に使われています。自然水を精製したものを純水と考えれば、純水のうち医薬品製造分野で使うものを精製水と呼んでいるとも言えます。
 
1.イオン交換樹脂
 純水装置と言えば、イオン交換塔が思い浮かびますが、このイオン交換塔の中身であるイオン交換樹脂は、水中のNa+,Ca2+,など陽イオンを交換する機能を持つものと、水中のCl-,SO42-など陰イオンを交換する機能を持つものがあります。
 前者を陽イオン(カチオン)交換樹脂と呼び、後者を陰イオン(アニオン)交換樹脂と呼びます。
イオン交換樹脂は、スチレンとジビニルベンゼンから構成される基体に、官能器としてスルフォン基や4級アンモニウム基が導入されている小粒径の合成樹脂です。
 イオン交換樹脂は交換官能基が飽和すると、再生剤を通水して再生を行います。イオン交換樹脂をカラムに詰めたイオン交換塔は、一定水量を採水した後、採水を止め、再生を行います。従って、連続的に純水が必要な時は、更に一系列設置して交互運転を行います。
 このようにイオン交換塔は、連続的に純水を製造することは困難であって、採水―再生―採水を繰り返す、いわゆるバッチ操作が必要になることが特徴です。

図1 イオン交換樹脂の構造模型図
三菱化成テクニカルシリーズより
 

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