WFI製造プロせすへの思い【第3回】

EUがWFI製造法を改正した理由
 EU当局は、2015年4月にWFI製造法に関して歴史に残る改訂案を発表しました。この改訂は2017年4月よりPh.Eur.へ収載されることが発表されました。この改訂へ至った背景とその直接的な理由を考察します。
 2002年当時、CPMP/CVMP(欧州薬局方品質と査察専門調査委員会)は「最近WFIの準備のためのRO水の使用を再考した。ROによる水の生産およびそのテクノロジーを結び付けたものは、信頼性が蒸留に対して不足していると考えられ、(中略)現在の見解は、WFIのためには高度精製水が容認できないことである。(訳文筆者)」と調査結果を発表していることを、前回に触れました。つまり、EU当局はこれまでWFI製造に蒸留器が不可欠だとしてきました。
 この10年余りの間にEU当局を進化させた背景は何でしょうか。他極から薬局方を調和させて三極間のみならず国際取引をスムースにしようとする考え、このような他極からEU当局への働きかけも一因でありますが、EU当局は自ら他極薬局方を尊重し、自主管理へ向かわせる新しい方向性がこの改訂に込められているように思います。
 ここには、WHO GMPやPIC/S GMPのバックボーンであるQRM(Quality Risk Management)の先にある自主管理精神があると観ます。ただ厄介なのは、この自主管理精神は放任主義ではなく厳しい面を持っています。自主管理が確実になされている証拠・数値・その数値が得られたプロセスについて明確な説明を求めてくると予想できます。
 つまり、Accountability and Traceability がより明確に求められる上での自主管理ですが、これらは「ただ良い製品を造ることが全て」と考え易い我々世代からすると、なじめないやり方ですが、グローバルな世界でモノを流通させる時には、避けて通れない道と考えねばなりません。

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