2018.09.14.FRI

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ゼロから考えるAI活用

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執筆者:外山 未佑

近年、新聞記事に「AI(Artificial Intelligence)」という単語を見かけない日はありません。
そんな「AI」は、一体どのような仕組みでできていて、何ができるのでしょうか。

■AIってなんだ?
AIは「人工知能」と訳されることが一般的です。しかし、知能を「人間の脳の働きそのもの」と定義するならば、現時点のAIを人工の知能と言い切ることはできないでしょう。
なぜなら、現在の科学技術では人間の脳の働きを明快に説明することができないからです。仕組みが分からない以上は、人工的にコンピュータ化することはできません。
では、AIが「人間の脳の働きそのもの」よりも劣った仕組みかというと、答えは否です。
AIは人間の考え方の一部を模倣し、人間の既成概念にとらわれない考え方が可能です。また、人間が10年かけて蓄積する経験(=過去データ)量を、AIはものの数日で獲得することもできます。だからこそ、囲碁、将棋、チェスの世界チャンピオンをAIが打ち破る、世紀のニュースが生まれたのです。
 
■今のAIの仕組み
現在、一般的にAIと言われるものは、大量のデータからルールを学習し、ルールに則った挙動や情報生成を行うことができます。その実現のために、機械学習(Machine Learning)という「コンピュータ上で人間が行っている学習の仕組みを実現する技術」を用いることが主流です。
 
例えば、赤ちゃんが柴犬・ヨークシャテリア・ポメラニアンを「犬」であると教えられたとき、それぞれの共通した特徴(ワンワンと吠える、尻尾がある、よく舌をだす等)を「犬」の持つ特徴であると学習します。これにより、次にダックスフントを見たとき、新たに教えられることなく、「犬」であると判断することが可能になります。このように、人間が自然と行っている学習の仕組みをコンピュータで実現することが機械学習です。
この技術の最大のメリットは、認識対象(画像や音声、文章など)ごとに複雑なプログラミングを考えることなく、人間のように特徴を学習することで、汎用的な規則性を獲得、認識することができるということです。

■機械学習の進化
AIの主流技術として機械学習を紹介しましたが、最先端の技術であるため、多様な機械学習の手法が研究され続けています。中でも現在のトレンドは、既存のニューラルネットワークという技術を基礎とした「Deep Learning」です。
ニューラルネットワークとは、「人間の神経回路(ニューロン)を模した仕組み」のことで、1960年代から研究されています。機械学習は認識対象の特徴把握により判定することは前述の通りですが、人が新しい対象を認識するとき、対象の特徴は複数あるため、それぞれについて重要度をつけた判断をする必要があります。このように認識対象の特徴に重要度をつけて人間にとってより正解に近い回答を導き出す仕組みが、ニューラルネットワークと呼ばれています。
 
この仕組みを何層も組み合わせ、特徴の重要度を複雑に設定することにより、さらなる改良が重ねられてきたのですが、長らく精度は上がらないままでした。そこでブレークスルーとなったのが、「Deep Learning(深層学習)」という技術と、コンピュータの性能向上です。この技術のポイントは、ニューラルネットワークの仕組みについて、組み合わせ方の工夫(複数の分岐やループを持たせて層を厚くするなど)や、計算量削減の手法を取り入れることにより、高い精度の実現が可能と分かってきたことにあります。これにより、ニューラルネットワークを構成する仕組みごとに役割を与えることができ、高い精度を実現することが可能となりました。また、そうした計算を行うには膨大な計算が必要となりますが、コンピュータの性能向上により実用的な時間で計算できるようになりました。
もちろん、まだまだ新しい技術であるため、完璧な精度とはいきませんが、Deep Learningの発展により、AI技術が大きな一歩を踏み出したことは間違いないでしょう。

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外山 未佑

外山 未佑

国際基督教大学(ICU)卒業。
NTTコムウェア株式会社に入社後、大手通信会社における料金請求/回収システムの大規模開発に従事。仕様調整~製造~試験までを経験し、システム開発の基本知識を培う。
現在は、製薬業界向け営業担当として、開発経験を活かして、幅広い商材を用いながら提案活動を行っている。

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