2018.02.23.FRI

品質システム(PQS)

新しいGMP教育訓練像を求めて【第9回】

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執筆者:葛城 知子・小暮 慶明

新しいGMP教育訓練像を求めて【第8回】

新しいGMP教育訓練像を求めて

【第9回】QA部員への計画的OJT


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■4月10日(火)
GMP教育訓練による品質保証力の向上
~現場の意識づけとQuality Cultureへの取り組み~

 
はじめに
 筆者等は、時として、製造委託先のGQP監査や、海外政府機関を前提としての模擬査察実施の依頼を受けて、日本国内の原薬製造や最終製品の工場を訪れ、多くの事を学ばせていただく機会がある。それらの工場を訪問するときは、事前に、インターネット、営業部門、品質保証部門(以下 “QA”と略記)、そして知人から可能な範囲で情報を入手している。これは、事前情報を総合して、監査等を効果的に進める戦略を練るためである。この「事前入手情報からの総合的判断」と、「実際に訪問して監査/模擬査察を行った印象」とは、かなりの相関性があると感じている。その一つが今回取り上げた「QAの質(quality)」と、「工場(企業)としての信頼性・誠実さ(trust and sincerity)」の確保との相関である。
 QAはその工場の経営陣が行う品質経営(quality management)を補佐し、より高い品質信頼性と経済的効率性を与える施策を提言する立場にある。QAが経営陣の品質経営の意図を展開し、GMPの実際的な運営を行うことを考えると、QAという組織が優れた人材によって構成されているか否かは、工場の盛衰に大きく左右することは明らかである(注1)。 QAはGMP教育訓練を主導する立場にもあるが、いわば“GMP教育の先生をどのように育てるか?”というのが、本テーマの意図である。
 結論を先に申し上げれば、QA部員のGMP教育は、受講者(trainee)の個々に合わせた(カスタマイズした)“動的な”計画的OJTプログラムによることが現実的と考えられる。
 ここでの“動的な”とは、OJTは実際の業務を通して教育と訓練を行うのであるから、最終的な目標(QAの守備範囲のある分野でのプロフェッショナルを育てる)は変えずに、その育成するまでの過程に応じたOJTを行うことを意味している。訓練者(trainer)は、その計画的OJTプログラムを遂行するための、コーディネーターとしての役割を果たすことが重要となる。これは訓練者自身が、全てのOJTに掲げた教育と訓練項目を受講者に対して指導する必要がないということを意味している。
 
1.計画的OJT訓練者の資質とは
 QA部員は、高い専門的知識の他に、優れた“QA的センス”を持つことが必要である。それでは優れたQA的センスとは何かであるが、これは人によって意見が異なるであろう。これまでそれを述べた資料もないので、筆者等の独断と偏見によってそれを考えてみた(図1)。更に図1に示した4つの要素の目指すべき方向性を示したものが表1である。つまり、訓練者は担当させる業務についての専門的知識の他に、受講者に対してQA的センスを高める努力の必要性を理解させるべきである。OJTによる訓練者も、その指導を受ける受講者も、このQA部員としてベースになる“QA的センス”を高めるためにはどのような努力と行動をすべきかを考え、それを実行すべきである。

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図1 QA部門職員に望まれる“センス”の要素(案)

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表1 “QA的センス”の各要素の目指すべき方向性

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葛城 知子・小暮 慶明

葛城 知子・小暮 慶明

筆者らは教育訓練とは何かについて、長年にわたり研鑽を積んできた。今回、その内容の一部を、テーマごとに簡潔にまとめてみた。