2017.09.08.FRI

品質システム(PQS)

GMPヒューマンエラー防止のための文書管理【第1回】

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執筆者:中川原 愼也

GMPヒューマンエラー防止のための文書管理

GMP三原則とヒヤリハット

1. GMP三原則

 GMP三原則を確認する。
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図1 GMP三原則


 GMP三原則において「人為的な誤りを最小限にすること」がうたわれている。GMPは、文書が増えて、ヒューマンエラーを招くとか、ヒューマンエラーは「0」にできないから、仕様がないとか発言する人もいる。しかし、GMPが求めていることは、まず、ヒューマンエラーの発生をいかに低くする方法を模索することである。その模索することがリスクマネジメントにおけるリスクアセスメント(リスク分析)となる。ヒューマンエラーが起こると、すぐに「逸脱だ!」「教育訓練だ!」と大騒ぎをするのではなく、原因の調査をきちんと行い、もし、手順書を十分に読まずに起きた事象なら、なぜ、手順書を十分読まなかった理由を明確にすることが大事である。それが手順書をどこに保管しているか分からず、読まなかったなら、文書の保管方法を見直すことが必要である。もし、記載が複雑で、理解ができなかったなら、写真や図表を利用して、理解しやすい手順書(SOP)を作成することも重要である。手順書(SOP)を詳細に記載して、分厚いマニュアルを作成すると、却って、読まないのが、人間心理だと思う。例えば、「マンガ」のようにすることやプロセスごとにA4で納めることも一つの方法である。実作業者が読みやすい手順書(SOP)を作成することが大事である。
 ここで、読者の誤解を招かないように確認する。リスク分析は「逸脱」が起きてから行うのではなく、変更による影響の確認として、是正措置を行うにあたり、その行為を起こすことにより発生する恐れがあるリスクを考えることがリスクアセスメントである。また、逸脱の発生に対して、同様な事例が別の品目や別の製造ライン等で起こるかを検討することがCAPA(Corrective Action & Preventive Action)の予防措置である。
 ヒューマンエラーは、教育不足と片づけるのではなく、その原因を探ることが大事である。特性要因図(fish bone chart)等を利用して探るのも方法である。これから、その原因と対策について検討したいと思う。ただし、これですべて解決などという魔法の杖を私は持っていない。だからこそ、コミュニケーションを取り、ハードとソフトの両面で働きやすい環境を作ることが大事である。

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中川原 愼也

中川原 愼也

高田製薬株式会社大宮工場品質管理課参事
1984年神奈川県庁に入庁し、1997年国立公衆衛生院(現在の国立保健医療科学院の前身)でGMP研修を受講後、薬務課及び小田原保健所等で医薬品等の製造販売業、製造業の許認可、審査、指導を主にGMP・GQPリーダー査察官として16年にわたり活躍した。その間、MRA(日・欧州共同体相互承認協定)の締結の際のEUの調査、2005年の製造販売承認制度の施行に携わり、PIC/S加盟にあたり、厚生労働省の委員等委嘱を受け、次の活動に参加した。
平成20、21年度 GMP/QMS調査・監視指導整合性検討会委員
平成21、22年度 厚生労働科学研究~GMP査察手法の国際整合性確保に関する研究
2012年に神奈川県庁を退職し、医薬品原薬輸入商社であるコーア商事株式会社で、品質保証部長として国内管理人としてのGQP取決め及び医薬品製造業としての GMP管理を統括した。2015年から株式会社ファーマプランニングにて、GxPコンサルタント業務に携わり、2017年高田製薬株式会社に入社、4月より同大宮工場製造管理者に就任。