2015.04.27.MON

そのほか

ベトナム製薬産業の現状(2014年時点)

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執筆者:レー・バン・トゥルイェン


 
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 2014年、ベトナム医薬品産業の成長率は17%であった。過去10年間に渡り、平均成長率が2桁で維持されてきた。ベトナム医薬品市場の規模は2014年で38億米ドルに達し、2013年(33億米ドル)と比べて17%上昇した。その内訳は、処方箋医薬品の売り上げが23%、ジェネリック医薬品が51%、そして一般医薬品(OTC)が27%となっている。

 2014年、一人当たりの医薬品支出平均額は31米ドルで、2000年と比べて150%上昇した。そして、ベトナム医薬品市場規模は2009年の2倍になった。ベトナム国内製の医薬品は国民の健康管理・維持需要の5割に対応できている。国内製薬企業は、世界保健機関(WHO)が区分した薬理作用のある27グループに属する520種のAPIを原料としたジェネリック医薬品を製造している。2014年時点で、ベトナムにはWHO-GMP基準を満たす工場が133工場あり、PIC/S-GMPすなわちEU-GMP基準を満たす工場は3工場ある。

 国際企業監査機関 (BMI:Business Monitor International)は 次のように纏めた。

 「2011-2013年の各成長率は19%のレベルで、ベトナム医薬品市場は東南アジアの中で最も急成長をとげている市場の一つである。2017年までには、医薬品市場の成長率は年に20%となる見込みである。医薬品支出額の連続的な上昇の要因として、国民の収入の増加、高齢化、国民に対する健康管理・維持活動の活発化、また特に政府が2020年には健康保険を国民全員に適用できるようにするということを目標にかかげていることがあげられる。」

 ベトナムの製薬産業の強みは、1)国内企業の殆どは自社の流通ネットワークを持っている2)全ての医薬品製造所はWHO-GMP基準を満たしている3)人件費は近隣の各国と比べて安い、ということである。

 一方、弱みとしては、1)高レベルの人材が不足している2)近年、国営企業から、民間あるいは外資系企業への頭脳流出が起きている3)多くの企業は長期戦略や競争戦略を持っていない4)主にジェネリックの製造である5)施設及び技術改善の投資が不足し、銀行借入金利が高い6)原料の約99%は輸入である7)医薬品の研究・開発施設や人材が不足している、ということが有る。

 とはいえ、医薬品分野に対する投資機会は豊富にある。例えば、1)ベトナムの人口は東南アジアでは2位で、2019-2020年頃には1億人に達する見込みである2)医薬品需要が伸び、支出額が上がっている3)国内医薬品が需要に対応できる比率に関しては、政府の2020年目標は70%であることに対して、現状は50%で、国内外の企業に対し、投資の余地はまだ多くある。

 しかしながら、次の点に対して注意が必要である。1)近年、ベトナムのGDP 成長率の伸びは鈍化している。2)世界的な経済不況の影響で、財政政策が引き締められ、銀行金利が高く、為替レートの変動が生産経費に与える影響3)国営機関あるいは健康保険での医薬品購入価格を厳格に管理する政策4)医薬品の研究・開発活動に高レベルの人材が不足している

 「世界175カ国中、ベトナムは医薬品市場の発展スピードが13番目である」とBMIが評価したことおよび製薬産業の発展を優先にする政府の戦略により、ベトナムは世界の大手製薬企業やグローバル企業の注目を集める潜在力を持っている。

 Decision Resource のJonathan Chenアナリストは次のように述べた。

 「2013年には、ベトナムの人口は9千万人となり、東南アジアの中で3番目に人口が多い国となった。このことは、医薬品市場の規模が大きくなり、国外製薬企業の投資を誘致するきっかけとなった。2017年の市場成長規模が20%以上になるという推定は、発展途上市場に投資機会を探索するときの企業戦略立案のために重要なシグナルとなっている。」

"Vietnam's population reached 90 million by the end of 2013, making it the third most populous country in Southeast Asia and a sizable market for foreign drug manufacturers to consider for investment. An estimated market growth rate of 20 percent through 2017 should signal Vietnam's importance in any company's strategic planning when exploring opportunities in developing markets," opined Mr Jonathan Chen, Decision Resources analyst.

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レー・バン・トゥルイェン

レー・バン・トゥルイェン

准教授。元ベトナム保健省副大臣。
1971年にルーマニアのブカレスト薬科大学で薬学博士号を取得。
1971年から1986年の間、ハノイ薬科大学で製薬技術の講師。
1986年にトゥアティエン-フエ製薬に入社し、Directorとなる。1992年から2002年までベトナム保健省上級副大臣(兼国会での大臣代理)に就任。その後、ベトナム製薬企業協会(VNPCA)を設立し、2000年から2004年まで初代会長に就任。2005年にベトナムの代表的な会社であるサビファーマ(SVP)に入社し、品質保証担当の副社長として2010年のJ-GMP査察をパスさせた。同時期、2009年から2012年までSVPで科学技術委員会議長を兼任。2010年から2013年までベトナムUNIDOのシニアエキスパートを務め、世界保健機構(WHO)ジュネーブ及びハノイの臨時アドバイザーでもあった。現在まで、多くのベトナムの薬科大学で客員教授を務め、医薬品業界のコンサルテーション、GMP教育及び調査活動に貢献。
2014年12月からCM Plus Vietnamのシニアアドバイザーに就任。