2016.11.10.THU

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ラボにおけるERESとCSV【第23回】

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執筆者:望月 清

ラボにおけるERESとCSV【第22回】

ラボにおけるERESとCSV

第23回 PIC/Sのデータインテグリティガイダンス(1)

はじめに
PIC/S査察官向けのデータインテグリティガイダンス(ドラフト) が2016年8月10日に、下記標題にて公開された。対象規制領域はGMPとGDPである。本ガイダンスは規制要件を新たに追加するものではなく、データインテグリティと査察実施に関するGMPとGDPの要件解釈を査察官に提供することを目的としている。
 
Good Practices for Data Management and Integrity
in Regulated GMP/GDP Environments
 
GMP/GDP領域における
データ管理とデータインテグリティ実践規範
 
PIC/S加盟当局はこのドラフトガイダンスを試行し、2017年2月28日までにそのコメントをPIC/Sへ提出する。PIC/SデータインテグリティWGは、査察官からのフィードバックや査察経験などにより、本ガイダンスを今後定期的に改訂してゆく。
 
本ガイダンスの目次を表1に示す。5章、6章は運用面のガイダンスであり、7章、8章、9章、10章が技術面のガイダンスである。10章にはGDPを含む外部委託業務における留意点が記載されており、MHRA、WHO、FDAなどのデータインテグリティガイダンスには記載がなかった目新しい内容である。

 
表 1 ガイダンス目次
1.文書履歴
2.はじめに
3.目的
4.適用範囲
5.データガバナンスシステム
6.データインテグリティに対する組織の影響
7.データインテグリティの一般原則と実現の鍵
8.紙ベースシステムにおけるデータインテグリティ留意点
9.コンピュータ化システムにおけるデータインテグリティ留意点
10.外部委託業務におけるデータインテグリティ留意点
11.データインテグリティ指摘に対応した規制措置
12.データインテグリティ課題への対応
13.用語の定義

このガイダンスは査察官向けであるが、企業にとっても有益なことが多数記載されている。例えば、データインテグリティに関する、自己点検、社内監査、業務委託先や供給者の監査において活用することができる。
 
参考までに、本原稿執筆時点において発出されているデータインテグリティガイダンスの概況を以下にまとめる。

              規制領域    発出年月      版情報   ページ数
▷ MHRA(英国医薬品庁)      GMP     2015/3      1.1       16
▷ MHRA(英国医薬品庁)      GxP        2016/7     ドラフト     14
▷ WHO(世界保健機関)       GxP      2016/7      初版      45
▷ FDA           GMP     2016/4      ドラフト        10
▷ PIC/S           GMP/GDP   2016/8      ドラフト          41



本ドラフトガイダンスの原文は41ページと相当な量であるので、本解説においては、企業にとって重要であると思われることを中心に要旨説明と解説を行う。要旨説明は、原文の細かい表現を割愛し、可能な限り箇条書きとした。そのため、本ガイダンスの厳密な内容や解釈については、原文もしくは対訳等を参照されたい。以下、要旨説明と解説を行うが、(かっこ)内の数値は原文の見出し番号である。
 

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望月 清

望月 清

合同会社エクスプロ・アソシエイツ代表。
1973年山武ハネウエル株式会社(現アズビル)入社。分散型制御システム(DCS)を米国ハネウエル社と分担開発。2002年よりPart 11およびコンピュータ化システムバリデーションのコンサルテーションを大手製薬会社にご提供。2009年より微生物迅速測定装置の啓蒙普及に従事。2014年5月より現職。