2015.12.16.WED

プロジェクトマネジメント

実践! 医薬品開発のプロジェクトマネジメント【第8回】

この記事を印刷する

執筆者:熊谷 文男

実践! 医薬品開発のプロジェクトマネジメント【第7回】

実践! 医薬品開発のプロジェクトマネジメント

第8回 コアスキル(1)

 前回および前々回で、「トップダウンとボトムアップ」の使い分けについて紹介してきた。今回は、PMO構成メンバー、とくにプロジェクトリーダーに必要な「コアスキル」について考えてみる。
 
 プロジェクトリーダーには、リーダーシップとマネジメントという2種類のスキルが求められる。まずは、両者の違いを確認することからはじめよう。
 リーダーシップは方向性、すなわち、理念や目標、戦略などを示すことである。それに対し、マネジメントはその示された方向性を実現するために、きめの細かい戦術を策定し、能率・効率よく、管理・コントロールしていくことである。したがって、一般的にリーダーシップは年齢や経験、実績に関係なく発揮されるものであるのに対し、マネジメントは一般的に経験や地位が重要となる。
 
 以下の図に示すように、これまで経営学者や社会学者が両者の違いについて色々と述べており、それぞれ面白い。

kumagai_001.PNG
図 リーダーシップとマネジメント

 理想のリーダー像、すなわちリーダーに求められるコアスキルについては、これまでにたくさんの発言や著作がある。まずは「ロケット博士」として知られる糸川英夫氏が挙げている「プロジェクトリーダーの7条件」を紹介しよう。いずれも示唆に富んでいる。
● 多様な経験を持つ
● 予測能力が優れている
● メンバーの学歴・経験にこだわらない
● 正確で迅速な判断力を持つ
● 豊かできびしい想像力を持つ
● 人間関係で中立を保つ
● 表現力が優れている
 続いて、船川淳志氏が著書(「ビジネススクールで身につける思考力と対人力」 日経ビジネス人文庫 2002)で紹介している「ジェームズ・コーズとバリー・ボスナーが7万人を対象に行ったリーダーに関する最も徹底した調査」によるとリーダーは下記の5項目の行動において優れている、と論じている。
● 現状打破
● ビジョンの共有
● 協力育成
● 率先垂範
● 鼓舞激励
 さらに、プロマネ育成を長年実施してきた上野則男氏はプロジェクトリーダーに求められる資質として、下記の項目を挙げている。
● 強靭性
  いたずらに緊張しない、焦らない、あきらめない、めげない、逃げない
● 積極性
  言い訳をしない、先延ばしにしない、積極的に発言する、関心を示す、
  進んで知り合いを作る、肯定的に物事を考える
● 社交性
  明るい顔をしている、服装や身なりがきちんとしている、人を引き付ける、
  話が上手である、友人や仲間が多い、味方が多い
 また、宇宙開発のNASAが公にしているプロジェクトリーダーに求められる資質は、下記の項目である。
 使命感、誠実さ、判断力、勇気、情熱、忠誠心、機転、挑戦、
 先手必勝、感知能力、グローバル思考、未来志向、精神力、
 創造性、好奇心、分析力、実務能力、広い度量

1 / 3ページ

熊谷 文男

熊谷 文男

筑波大学大学院客員教授、慶應義塾大学薬学部非常勤講師、東京薬科大学非常勤講師
1975年 中外製薬(株)入社。研究開発、プロジェクトマネジメント、人財育成などの業務を経験。米国駐在時には、国際開発も担当。国公私立大学、各種学会・セミナー、大手企業での講演や執筆は多数。現役水泳選手及びスキンダイビングインストラクター。製薬企業米国駐在員OB/OG会「アメリカファルマ会」会長、世界の難病の子供たちを救うNPO「荻田修平基金」 理事、就活支援組織「メディカルカレッジ」アドバイザリーボードメンバー、医薬品業界における「社会人基礎力研究会」アドバイザー、幼稚園理事長・園長、総合旅行業務取扱管理者、等。

Books

書籍一覧

Service menu

GMP Platform提供のサービスです